早良区西新|西新で守られる、半世紀のコーヒー文化『珈琲伊藤』
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目次
約50年続く喫茶店の味
地下鉄西新駅から徒歩3分。立地の良い場所に佇む老舗の珈琲店『珈琲伊藤』に行ってきました。

カウンター越しで迎えてくれたのは、二代目である伊藤稔さん。
取材を始めると、お店の歴史を話してくれました。
「もうすぐ49年目ですね。12月23日がオープンの日なんですよ」とゆったり笑う伊藤さん。
口コミと常連さんがこの店を支えてきたそうで、雑誌にもSNSにも頼らない、まさに“時代に左右されない喫茶店”。

近年はお客さんが自然とSNSに投稿し、若い世代にも広く知られるようになったとのこと。コロナ禍を乗り越えて、今では平日でも忙しい日が多いそうです。
珈琲へのこだわり


『珈琲伊藤』に来たら、まず飲んでほしいのが 『ブレンドコーヒー』(600円)。
多くのメニューがある中でおすすめを尋ねると、すぐに「普通のブレンドでいいと思いますよ」と返ってきました。

『珈琲伊藤』が創業当初から大切にしているのが、ネルドリップという抽出方法。
これは、細かなペーパーフィルターではなく、やわらかい布(フランネル)でできたネルフィルターを使うドリップ方法で、昔ながらの喫茶店で好まれてきた味の出し方です。
ネルフィルターは、布の繊維がコーヒーオイルを適度に通しながら、微粉はしっかり濾す特徴があります。これによって、口当たりがまろやかで、コクのあるコーヒーに仕上がるのが大きな魅力です。
ネルドリップならではの深い味わいは、『珈琲 伊藤』の長い歴史と丁寧な一杯にしっくりと寄り添う、まさに “時代を超えた喫茶の味”なのです。

酸味がほとんどなくて、驚くほど飲みやすい。
普段はカフェラテ派の私でも、ブラックで「美味しい」と思えたのは正直初めてでした。
コーヒー特有の尖った印象がなく、やわらかく広がる味わいに思わずもう一口、とカップに手が伸びます。


さらに伊藤では、今では珍しい甘みのない生クリームを添えて楽しむスタイルも残されています。
かつては喫茶店では一般的だったこの飲み方も、今ではほとんど見かけなくなりました。
砂糖の入っていない生クリームをそっと浮かべることで、コーヒーに自然なコクと丸みが加わり、味わいはより穏やかに。
ネルドリップで丁寧に抽出された、酸味の少ないブレンドコーヒーに、この生クリームが合わさると、口当たりはさらにやさしく、角の取れた印象に変わります。
変わらない場所で、変わらないように続けていく
今後の展望を聞くと、伊藤さんは穏やかに言いました。
「元気なうちは、このまま続けていけたらそれでいいかな」
お店の歴史の話をしながらも、どこか照れたように笑う姿が本当に素敵でした。
誰かに無理に伝えなくても、必要な人が自然と来てくれる——そんな空気が店全体に流れていて、居心地の良さの理由がよくわかります。

外国のお客さんも増えていて、韓国の方が特に多いとのこと。
メニューを指差して注文してくれるので、言葉が通じなくても不便はないと話していました。
半世紀近く続く喫茶店でも、時代と自然に寄り添いながら日々進化しているのが印象的でした。
おわりに
『珈琲 伊藤』は、ただの老舗ではありません。


流行に頼らず、必要な人に届く場所であり続ける喫茶店。
そして、ブラックをあまり飲まない人でも“美味しい”と思えるコーヒーに出会えるお店。
取材後、「次はプライベートでゆっくり来たい」と自然に思えたのは久しぶりでした。

西新で静かにコーヒーを楽しみたい日には、ぜひ『珈琲伊藤』へ。
変わらない温かさがきっとあなたを迎えてくれます。
店舗情報
- 店舗名
- 『珈琲伊藤』
- 住所
- 福岡市早良区西新5丁目1−35
- 営業時間
- 8:00~21:30
- 電話番号
- 092-823-0325
- 定休日
- 不定休
- イートイン
- 29席
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